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    アドボカシー

    2024年10月7日

    パレスチナの平和を求める声明

    日本YWCAは10月7日、以下の声明文を発信しました。

    2023年10月7日に始まったガザ「戦争」から、悲しいことに1年が経ちました。私たちのうち、誰もガザへの軍事侵攻がこんなに長く続くことになるとは考えていませんでした。なぜ、私たちにはこの戦争が止められないのでしょうか。憤り、内省、祈りをもって、改めてパレスチナの平和を訴えます。

    ■犠牲になるのは、未来のある子どもたち
    この間、ガザ200万人の人口のうち、4万人以上が戦争により命を奪われました。がれきの中に埋もれたままになっている人を加えれば、その数はさらに激増すると言われています。亡くなった人のうち30%以上が子どもです。低体温により死亡した新生児がいました。2024年6月時点で28人の子どもを含む34人が栄養失調により命を落としており、現在も3千人の子どもが栄養不良で命の危険にさらされています。現在もガザ市民数十万人が、非常に深刻な飢餓に陥っています。学校、病院、国連施設も無差別に攻撃され、そのたびに多くの死者が出ています。衛生環境の悪化により様々な感染症が人々の間に引き起こされています。予防接種で防げるポリオが、水とワクチンがないため、8月には子どもたちの間で大流行しました。医薬品もない中、麻酔無しの手術が行われています。電気の無い中で、ガザは冬と夏を越えました。もう一度冬を迎えることがあってはなりません。ガザでは水、食料、物資、エネルギーが枯渇し、インフラや設備は破壊され、衛生状態は最悪となっています。

    ■1947年までのパレスチナと、「自治区」とされた現在のガザおよびヨルダン川西岸地区
    ガザは、1947年の国連・パレスチナ分割決議案で境界線が引かれるまでは、パレスチナ平野の南に位置する一地方でした。南をエジプトに接し、地中海沿岸の漁業と農業が盛んな豊かな土地柄で、アフリカ大陸、ヨーロッパ、東方をつなぐ交通・交易の要衝でした。
    それなのにパレスチナ分割決議案と中東戦争によりガザ回廊と呼ばれる南北に細長く区切られた地区となりました。パレスチナ人がのちに「ナクバ(大災厄)」と呼び心に刻む1948年のイスラエル建国と数百の村々の破壊、それに伴うパレスチナ難民の発生。その難民の群れはガザにも流入し、人口の8割を難民が占める、世界で最悪の人口密度の土地となりました。2005年にイスラエル軍が撤退したものの、完全な封鎖下に置かれ、経済は破壊され、若者たちには未来への選択肢がありません。2008年、2009年、2012年、2014年、2021年と、イスラエルによる大規模な軍事攻撃が繰り返されました。
    そのガザが、今回の戦争では南北に分断され、移動勧告という名の攻撃予告を受けながら、人々は避難生活を余儀なくされました。どれほどの恐怖、屈辱、困難だったことでしょうか。生きた人がいるままに町を更地にするような、このような野蛮な攻撃を、これ以上続けさせてはいけません。
    ガザに耳目が集中していますが、同じくパレスチナ自治区であるヨルダン川西岸地区でも、イスラエル軍による違法な武力行使や人権侵害が激しさを増しています。
    パレスチナの人々は自由と尊厳と平和を求めています。人の命も土地も武力で奪われてはならないのです。それは、地球上のどの国、地域、人たちにとっても同じ権利です。パレスチナにとって停戦は同等な力関係にある者同士の和解ではありません。人権が守られるためのぎりぎりの最低ラインです。最終的には占領の終結が不可欠です。

    ■どんな主張よりも人の命を優先に
    イスラエルはあらゆる国際法規、勧告を無視して武力行使を続けており、ガザ地区および西岸地区を含むパレスチナには、占領の終結を求める正義があります。しかしそれ以上に、どのような主張に理があるかよりも、人の命が守られることが何より大切です。特に抵抗のできない子ども、病気や障がいを抱える人、妊婦、高齢者など、無辜の市民の命を守ることが大切ではないでしょうか。戦闘員や兵士の命も同様です。国の意志や都合によって人の命と権利が奪われ、より大きな武力と権力を持つ者の意向が、どんなに理不尽でも正しいものとされる世界のありかたはもう終わりにするべきです。
    このような時にも、パレスチナとイスラエルそれぞれから学生を招いて平和について語り合うワークショップを開催している学生グループがあります。現地を訪ねてパレスチナ・イスラエルの人々と出会い、見聞きしたことをSNSで発信する若者たちがいます。イスラエル・ボイコット運動により、非暴力の手段で活動を続ける若者もいますし、欧米ではイスラエル支持一辺倒の政策に異議を唱えるデモが起きています。ハマースとイスラエルは、話し合いのテーブルに着くことさえできません。政治的な駆け引きよりも絶対的な優先事項として、生活と命を守る行動をすべての指導者に求めます。

    ■私たちにできること
    ガザでの破壊が続くのは、米国をはじめ他国から武器が送られるからです。日本も無関係ではありません。私たち一人ひとりが、潔白ではありえないのです。自分たちには関係のないことと目をつぶっているうちに、私たちの納めた税金や、買い物をした代金が、どこかで子どもの命を奪う弾丸になっているかもしれません。今私たちにできることは、まず知ることです。世界で起きていることに、自分が無関係ではないことを自覚しつつ、知りえたことを周りに伝えることです。そして、小さな声をきちんと政治に届けようとすることです。
    私たちの無関心が、どこかで権利を奪われ理不尽に苦しめられている人の足を踏むことになっているかもしれません。生活に隣り合う課題を共に悩み、解決のために小さな一歩を選ぶ、「良き市民」となる力を、YWCAは出会いと交わりの中で育てていきたい。

    新型コロナウイルスによるパンデミックで、人々のコミュニケーションが制限されました。再び、ここから、人と出会いつながることから、小さな平和を周りにも広めていきたいのです。YWCAは、世界に姉妹を持つ国際団体です。パレスチナやレバノンのYWCAからも平和を求める声明が出されました。声を聴きあいつつ、共感をもって平和を求めていきます。パレスチナYWCA・東エルサレムYMCAが合同で呼びかける「オリーブの木キャンペーン」の「Keep Hope Alive(希望の日をともし続けよう)」のスローガンに祈りを合わせていきます。

    昨年のガザ侵攻後、YWCAでは即時停戦を訴え、12月に「Silent Night For Gaza」のバナーを掲げて静かに街頭に立つ「クリスマス・サイレントアピール」を全国で行いました。以来、できる形での即時停戦の訴えを続けています。イスラエルに対する平和的、合法的な対抗措置をとる団体やガザを支援するNGO、医療関係者、学術関係者の方々ともつながり情報を得ながら、最前線で人々を支えようとする方々の声を聴き、広め、必要な支援を知り、できることを応えていきたいです。そして、国境という線ではなく、女性、子ども、小さくさせられた人たちが安心していられる居場所を作る線を描いていきたい。それが私たちの願いです。

    ■日本政府、メディアに求めること
    現在、中東情勢はイスラエルがレバノン南部および首都ベイルートへの攻撃を強め、イスラエル・イラン間の緊張も高まっています。武力のぶつかり合いがエスカレートすれば「核」使用の脅威も起こりえます。
    日本政府には、国際社会で武力によらず話し合いによる紛争解決に、ぜひイニシアチブをとることを求めます。日本政府には、米国への追随でなく独立国として、日本国憲法が持つ武力によらない恒久平和の精神に則った態度を明確にすることを、メディアには、顔の見える取材と、圧力に屈しない公正な報道、平和への提言を求めます。

    日本YWCA
    会長 藤谷佐斗子
    総幹事 山本知恵

    この声明は、日本YWCAのホームページでお読みいただけます。 →声明を読む
    2023年の声明文はこちらからお読みいただけます。 →声明を読む

    パレスチナYWCAは、占領のもとで生活する女性や子どもたちの生活を支える活動を続けています。
    パレスチナYWCAの活動・支援呼びかけについては、日本YWCAのホームページをご覧ください。


    2023年10月11日

    あらゆる暴力の即刻停止と、パレスチナへの軍事占領の終結を求めます

    日本YWCAは10月11日、以下の声明文を発信しました。

    日本YWCAは、2023年10月7日にイスラエルの複数箇所がハマス戦闘員による攻撃を受け、またその直後からイスラエル軍によってガザ地区に攻撃が加えられ、女性・子どもを含む多数の死傷者が出ていると報道されている状況を、大きな衝撃とともに受け止めています。暴力的に命を奪われた人たち、家族や友人、住居や生活を奪われた人たち、今も生命の危機にさらされながら、恐怖のただ中にいる人たちの痛みを思います。

    市民を対象とした殺害・軍事攻撃は戦争犯罪であり、どのような立場にあっても、どのような理由があっても、許されることではありません。非暴力による平和を求める立場から、ガザ地区に連れ去られた捕虜の解放、住居・学校・モスク・民間施設を含むガザ地区への空爆・軍事攻撃の停止を含め、すべての暴力の即時停止を求めます。

    この事態の背景には、長年にわたるイスラエルによる軍事占領があります。1948年に数十万のパレスチナ人が故郷を追われて以来、パレスチナの人々は分断され、基本的な人権と尊厳を否定されてきました。ガザ地区は2007年から軍事封鎖され、200万人以上の住民が移動の自由やインフラへのアクセスの制限をはじめ、過酷な状況での生活を余儀なくされています。大規模な軍事衝突のニュースなどによる一時的な注目が止んだ間にも、パレスチナの人々に対する人権侵害は日常的に繰り返され、エスカレートしてきました。国連決議を含む再三の指摘にもかかわらず、国際社会は明確な国際法違反の状況の継続を許してきました。

    日本YWCAは、アジア・太平洋戦争の敗戦以後、戦争の恐怖と理不尽を経験してきた一人ひとりの声を深く受け止め、また軍国主義と侵略を止めることができなかった歴史への反省を持って、非暴力による平和を求めて声をあげてきました。また、世界YWCA運動の一員として、パレスチナの女性たちに連帯し、正義ある平和の実現を求めて活動しています。その立場から、すべての主体によるあらゆる暴力の即刻停止と、イスラエルによるパレスチナへの軍事占領の終結を求めます。

    日本YWCA
    会長 藤谷佐斗子
    総幹事 山本知恵

    この声明は、日本YWCAのホームページでお読みいただけます。 →声明を読む

    パレスチナYWCAは、占領のもとで生活する女性や子どもたちの生活を支える活動を続けています。
    パレスチナYWCAの活動・支援呼びかけについては、日本YWCAのホームページをご覧ください。


    2023年8月22日

    「ALPS 処理水」の海洋放出に反対し、民主的で誠実な対応を求めます

    日本YWCAは、政府が2021年4月13日の東京電力福島第一原子力発電所からの「ALPS処理水」の海洋放出の方針発表以来、その方法に反対し誠実な対応を求めてきました。
    原発事故後12年間放置し、廃炉の見通しも立たないなかでの、市民の合意なきALPS処理水の海洋放出の強行にあらためて強く反対します。(以下全文)

    内閣総理大臣 岸田文雄 様
    経済産業大臣 西村康稔 様
    環境大臣    西村明宏 様

    「ALPS処理水」の海洋放出に反対し、民主的で誠実な対応を求めます

    日本YWCAは、政府が2021年4月13日の東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水の海洋放出の方針発表以来、その方法に反対し誠実な対応を求めてきました。原発事故後12年間放置し、廃炉の見通しも立たないなかでの、市民の合意なきALPS処理水の海洋放出の強行にあらためて強く反対します。

    ALPS処理水問題に限らず、事故後被害をもたらした側が責任を負わないまま、事故の悪影響を受け入れるという社会的合意が被害者や国民全体に押しつけられてきた構造は、その範囲が近隣諸国の人々にも広がっており、終わりのない原子力災害の深刻さをあらためて痛感します。海外の国や地域の市民社会からも懸念・反対が表明されているにもかかわらず、海洋放出を強行することは看過できません。

    専門家によれば、大型タンクの設置やモルタル固化による処分も含めて検討をすることで、ALPS処理水の陸上での長期保管は可能です。それにもかかわらず人体への有害性が懸念されているトリチウムを含んだALPS処理水を海洋に放出することは、あまりにも安易で、市民の健康を省みない、非人道的な行為であることは明白です。自然に浄化作用がないものを環境に捨てることは言語道断です。

    2015年には、当時の経済産業相が「(処理水について)関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と漁業者と約束しています。漁業者は現在も海洋放出に反対しています。約束は守られないのでしょうか。8月20日の岸田総理会見では「これまでの説明を通じ、国際的にも科学的な知見にもとづく冷静な対応が広がっている」との認識を示されていますが、現地の関係者の反対を無視した状態で、必要な理解が得られているとは到底言えません。一方的な説明ではなく、対話が必要です。

    日本YWCAは「核」否定の思想に立ち、人権と環境を守ることを目的とした国際NGOとして、女性の健康・生活、そして「いのち」を守るために尽力していますALPS処理水の海洋放出は、女性を含むすべての人の健康を脅かす恐れがあることはもちろんのこと、特に地域の人々の生活に影響を与えます。日本YWCAは、海洋放出に強く反対し、廃炉を含めた政策の抜本的な見直しを強く求めます。

    日本YWCA
    会長  藤谷佐斗子
    総幹事 山本知恵

    声明文「『ALPS 処理水』の海洋放出に反対し、民主的で誠実な対応を求めます」(2023年8月22日)

    日韓YWCA共同声明文「私たちは東京電力福島第一原発事故による汚染水海洋放出に反対します」(2023年7月10日)


    2023年1月10日

    「安保3文書」閣議決定 への抗議文(27団体賛同)

    日本YWCAは、2023年1月10日、日本YWCAの呼びかけ・27団体の賛同により、表題の抗議文を岸田内閣総理大臣に向けて発信しました。
    神戸YWCAも賛同しています。
     
    呼びかけ団体:
    日本YWCA
     
    賛同団体(27団体・順不同):
    琉球弧の軍事化に抗する市民の会・みやぎ
    アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
    特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
    公益財団法人横浜YWCA
    公益財団法人名古屋YWCA
    平和を実現するキリスト者ネット
    新潟YWCA
    日本山妙法寺
    平和をつくり出す宗教者ネット
    基地のない沖縄をめざす宗教者の集い
    平塚YWCA
    不戦へのネットワーク
    福島YWCA
    静岡YWCA
    公益財団法人神戸YWCA
    公益社団法人日本キリスト教海外医療協力会
    沖縄YWCA
    公益財団法人大阪YWCA
    札幌YWCA
    公益財団法人福岡YWCA
    熊本YWCA
    京都YWCA
    公益財団法人東京YWCA
    一般財団法人函館YWCA
    (特活)名古屋NGOセンター
    長崎YWCA

    抗議文(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。
    「安保3文書」閣議決定への抗議文(27団体賛同)
     
     


    2022年12月28日

    「安保3文書」閣議決定 への抗議文

     
    日本YWCAは、12月23日、岸田内閣総理大臣に向けて表題の抗議文を発信しました。(以下全文)
     
    ****
     
    内閣総理大臣 岸田文雄様

    日本YWCA は平和を求める団体として1905 年に設立し、人権と環境を守ることを目的とし、女性の健康・生活、そして「いのち」を守るために世界の仲間と共に活動しています。
     
    私たちは日本国憲法を活かし、平和と民主主義を守る立場から、12月16日に日本政府が行った「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」、いわゆる「安保3文書」閣議決定に抗議し、撤回を求めます。
     
    国としての大きな方向性に関わる重要な意思決定を国会での審議を経ることなく閣議で行うことは、民主主義を根本から否定するものです。権力は一人ひとりの有権者から委託されたものであり、適正な手続きを無視して行使することは許されません。
     
    軍事力によって平和を実現することは不可能です。今回の閣議決定に盛り込まれている「反撃能力」の明記や防衛費の増大をはじめとした軍事への偏重と軍備の拡大は、国際情勢の不安定化を止めるものではなく、さらに悪化させるものです。
     
    近年、ロシアによるウクライナ侵攻、国連決議で違法性が確認されているにも関わらず数十年にわたり継続しているイスラエルによるパレスチナの軍事占領をはじめ、より強大な暴力を持つ側がそれを行使して恣意的に状況を変えること、それが明確に違法であるにもかかわらずなし崩しに「現状」として横行していく状況が国際的に加速しています。この流れが止められることがなければ人類全体にとっての未来は暗いものになります。
     
    この状況の中にあってこそ、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。[…]われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。[…]いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」(前文)という憲法を持つ日本が率先して、すべての人の命が尊重される世界と国際平和の未来像を訴え、示すことが役割であると考えます。
     
    今回の閣議決定を撤回し、すべての国会議員・公務員が順守義務を負う憲法に基づいて、国際社会に対する責任を果たすことを求めます。
     
    2022年 12月 23 日
     
    日本YWCA会長 藤谷佐斗子
    総幹事 山本知恵

    抗議文(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。
    「安保3文書」閣議決定への抗議文
     
     


    2022年8月5日

    安倍晋三元首相の「国葬」に強く反対します

     
    内閣総理大臣 岸田文雄 様
    衆議院議長 細田博之 様
    参議院議長 山東昭子 様

    私たちYWCAは、安倍晋三元首相の「国葬」の決定に強く抗議し反対します。岸田文雄首相は、参議院議員選挙の応援演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の「国葬」を、今秋に行うことを国会を経ずして7月22日の閣議で決定しました。「国葬」は、国民に対して弔意の表明を強要し、その人物の批判を許さないものです。国民主権の日本国憲法の精神に反し、第19条の思想・良心の自由などの基本的人権を侵害することは明白です。
     
    また、「国葬」には推定でも一億円以上の税金が使われると言われています。市民からの反対意見も聞かれる中で、このような多額の税金の支出を行うことは許されません。戦後の日本には、「国葬の根拠」となるべき関連法律はありません。法律に基づかない行事に多額の税金が使われる重大事項は、国会で審議すべきで、閣議決定で済まそうする姿勢は、日本の民主主義に反するものです。
     
    あわせて、安倍晋三元首相の「功罪」をよく検討しなければなりません。「森友学園」「加計学園」「桜を見る会」の問題は終わっていません。さらに、今回明るみになった安倍晋三元首相と「旧統一教会」との関連をうやむやにせず徹底的に調査する必要があります。今回の事件を「民主主義への挑戦」という言葉を使い、元首相の死を悼むのであれば、民主主義を貫き、国会での徹底的な審議を求めます。
     
    日本YWCAは平和を求める団体として1905年に設立し、人権と環境を守ることを目的とし、女性の健康・生活、そして「いのち」を守るために世界の仲間と共に活動しています。私たちは日本国憲法を活かし、平和と民主主義を守る立場から、今回の安倍晋三元首相の「国葬」に、強く反対の意を表します。
     
    2022年8月2日
     
    日本YWCA会長 藤谷佐斗子
    総幹事 山本知恵

    声明文(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。
    私たちYWCAは、安倍晋三元首相の「国葬」の決定に強く抗議し反対します


    2022年4月6日

    ロシア軍の即時撤退と対話による解決を強く求めます

    日本YWCAは、ロシアによるウクライナへの侵攻と、プーチン大統領による核兵器を用いた威嚇に対して、改めて強く抗議します。また、対話を通じた停戦を行うために、国際社会がロシアに対する圧力をかけながらも、今、苦しみの中にあるロシア・ウクライナをはじめとした関係諸国の人々に寄り添う寛容さを持つことを強く求めます。

    2月24日以降、ロシア政府がウクライナに侵入し、ウクライナ各地への攻撃を行っています。ウクライナの人々はその命と生活が脅かされ、大変な危機の中にいます。このようなロシア政府の行いは、国連 憲章、国際法に反する行為であり、いかなる理由であれ許されるものではありません。わたしたちは、ロシア政府が国際法を順守しウクライナへの攻撃を止め撤退することを、国際社会がロシア政府に対して働きかけるよう、行動を求めます。同時に核兵器の使用、また原子力発電所への攻撃などの核による大惨事へと繋がることの危険性についても、深く憂慮しています。核兵器が用いられた場合、それは世界規模の破滅的な結末をもたらします。わたしたちは、ヒロシマやナガサキの経験から、核がどれだけ悲惨な結果を招くのかを学んできました。現在、ロシア政府は、核の使用を示唆することで、ウクライナや周辺国へ威嚇をしています。このような「核を用いた威嚇」も核兵器禁止条約では禁じられた行為であり、国際社会の一員として許してはなりません。

    今回のロシア政府のウクライナ侵攻により、ウクライナの市民だけでなく、ロシアの市民も同様に苦しめられています。基本的な表現の自由も保証されていない中で、政府の行動に異を唱えることもできず、経済的、社会的不安の中におかれています。わたしたちは国際社会の一員として、この侵攻により 苦しみの中にあるウクライナ・ロシアをはじめとした関係諸国の市民の痛みに寄り添い、停戦に向けてできることをしなければなりません。

    わたしたちYWCAは、このロシア政府のウクライナ侵攻によって被害を受け苦しめられている全ての人々と連帯します。そして、ロシア軍の即時撤退と対話による解決を強く求め、日本政府が、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占める(日本国憲法前文2項)」ことを強く望みます。

    内閣総理大臣 岸田文雄 様
    外務大臣 林芳正 様
    衆議院議長 細田博之 様
    参議院議長 山東昭子 様

    2022年4月6日

    日本YWCA会長 藤谷佐斗子
    総幹事 尾﨑裕美子

    詳細はこちら


    2022年3月18日

    ウクライナへの支援募金呼びかけ

    日本YWCAはウクライナへの支援募金を呼びかけています。
    日本YWCAにお寄せいただいたご寄付は、以下の協力団体・ネットワークを通じ、現地に届けます。

    A:YWCA World Service Council(米国・YWCA世界奉仕協議会)による女性や少女のための中長期支援
    YWCA World Service Council(米国・YWCA世界奉仕協議会)は、今後世界YWCAが行う中長期支援活動を支援するため「ウクライナ支援基金」を立ち上げています。
    同基金は、戦争状態が終結し、メディアの関心が薄れ紛争地での緊急救援にあたるNGOが活動を終了 させた後の段階において、現地のウクライナYWCAが活動を再開し、地域の女性・少女たちのニーズ、国内の状況に応えていくための資金になります。また、周辺国に逃れた難民の人々への支援にもなります。
    現在は場所や資材の確保を含めて活動が困難な状況にある現地のYWCAですが、女性や子どもたちが戦争の傷を乗り越え、生活を再建する手段を確保するため、ご協力を必要としています。

    詳細はこちらをご覧ください(英語ページ)。

    B:YMCAの行う緊急支援活動
    ①ウクライナYMCAが行う、爆撃地や攻撃を受ける可能性のある居住地域から国内避難する人々への支援活動のために用います。
    ウクライナYMCAは国内25拠点を用いて、宿泊場所提供、食品、衣類、医薬品、衛生製品を提供しています。
    また、恐怖心・トラウマを抱える子どもと若者に、心理的、社会的な緊急サポートを行います。
    ②ウクライナ近隣諸国のYMCAが行う、国外に避難するウクライナの人びとへの緊急生活支援のために用います。

    詳細はホームページをご覧ください。

    詳しくは日本YWCAのホームページをご覧ください。

    【ご寄付の振込先】
    郵便振替00170-7-23723 公益財団法人日本YWCA
    *通信欄に「ウクライナ支援募金」とご明記ください。
    *神戸YWCA会館にも募金箱を設置しています。

    【お問い合わせ】
    公益財団法人日本YWCA
    〒101-0062
    東京都千代田区神田駿河台1-8-11 東京YWCA会館302号室
    TEL:03-3292-6121 FAX:03-3292-6122


    2022年2月28日

    わたしたちはロシア軍の即時撤退と対話による解決を強く求めます

    〜ロシアのウクライナ侵攻に対する日本YWCA声明文〜

      
    日本YWCAはロシアによるウクライナへの侵攻と、プーチン大統領による「核兵器を使用する」との威嚇に対して、強く抗議します。

    わたしたち日本YWCAはアジア・太平洋戦争時、「隣国を威嚇することで平和をつくりだせる」という流れに逆らえず、侵略戦争への道を突き進みました。戦後、その歴史を深く省み、同じ過ちを繰り返さないという決意のもとに、「『核』否定の思想に立つ」ということを重要な活動指針の一つとしてきました。

    プーチン大統領は「ロシアは世界で最も強力な核大国の1つだ」と発言しました。それに対し、広島の被ばく者は「核を脅しの道具にすること自体が許せない」と憤っています(2022年2月26日朝日新聞) 。わたしたちは「ひろしまを考える旅」を50年の間重ね、核兵器の被害と加害国としての責任を学んできました。その中で語られた「核兵器は、人類が人類に対して犯した最大の罪である」との被ばく者の言葉を深く受け止めています。核兵器の使用は決して許されてはなりません。

    ロシア軍によるウクライナ国内の幼稚園や子どもの施設への爆撃も報道されています。このような民間人への攻撃、ましてや武器を持たない子どもたちに対する攻撃は残虐な行為です。ロシアは明確に、国際法にも国連憲章にも違反する道をあえて選び取りました。

    わたしたち日本YWCAは、武力によらない平和をつくりだすために世界100カ国以上の仲間とともに活動しています。世界中の人々が求めているのは、戦争ではなく、平和です。相手を攻撃し敵をつくりだすことではなく、対話により理解を深めようと努めることこそが、問題解決への道であると確信します。

    わたしたちはウクライナYWCAの仲間たち、ウクライナの人々と連帯します。
    わたしたちはロシア軍の即時撤退と対話による解決を強く求めます。

    2022年2月28日

    日本YWCA
    会長 藤谷佐斗子
    総幹事 尾﨑裕美子

    声明文(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。
    わたしたちはロシア軍の即時撤退と対話による解決を強く求めます〜ロシアのウクライナ侵攻に対する日本YWCA声明文〜


    2021年2月6日

    森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の女性蔑視発言に対する抗議声明

    森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長が2021年2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)
    臨時評議員会において行った一連の発言は、日本国憲法ならびに日本が批准する複数の国際人権条約・
    オリンピック憲章を含む国際人権基準に根本的に反する、ミソジニー(女性蔑視)と偏見に基づく差別発言で
    あり、到底看過できるものではないことは言うまでもありません。

    森会長は4日にこの発言を謝罪し撤回していますが辞任は否定しています。極めて公的な立場において
    あからさまなジェンダー差別を行いながら、その責任が問われないままになることは、社会が女性への抑圧・
    蔑視を、言外に、しかし明確に許容することにつながります。加えて森会長は、過去にも悪質な差別発言を
    指摘されていながら公的地位に就き続けています。

    ミソジニーと偏見が黙認され続ける社会では、幼少時から人生のあらゆるステージでジェンダー・バイアス
    (性差による先入観)が植え付けられ、再生産されます。今回の JOC 評議員会での発言、そしてその場で
    「笑いが起きた」という状況は、将来にわたって女性たちの声と尊厳を奪おうとするものです。

    日本は女性差別撤廃委員会(CEDAW)を含む複数の国際人権条約委員会から受けた勧告の多くが
    未履行のまま度重なる再勧告を受けており、「ジェンダー・ギャップ」指数は 153 か国中121位という
    水準にあります。ミソジニーの再生産を止め、社会を変えることが必要です。

    日本YWCAは、「若い女性をエンパワーし、共に社会変革を進める」というミッションのもと、第5次男女共同
    参画基本計画への意見提出を含む多くの発信を行っています。若い女性たちが本来持つ権利を享受し、
    自らの可能性を万全に追求できる社会を求める立場から、今回の発言に強く抗議し、森喜朗東京五輪・
    パラリンピック組織委員会会長の辞任を求めます。

    2021年2月5日
    日本YWCA

    声明(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。
    森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長宛
    橋本聖子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣宛


    2020年6月26日

    #BlackLivesMatter に連帯し、人種主義の撤廃を求める声明

    日本YWCAは、ミネアポリス市警察官によるジョージ・フロイドさんの殺害に対し、世界のYWCA運動の一員として、米国YWCA・世界YWCA をはじめとする各国YWCAの発信に連帯し、連邦、州および地方自治体で事件の 徹底的かつ透明性のある調査と処罰が行われることを求めます。#BlackLivesMatter運動に連帯し、社会からの構造的人種主義の排除を求めます。

    私たちが住む日本の社会もまた、人種主義を保持・強化し続けています。「単一民族」という誤った認識、そして天皇制が根底にある、人間に「聖/卑」「優/劣」をつける価値観の中で、不可視化された人々の人権を無視し、あるいは明確にマイノリティの人権を抑圧・侵害し続けています。

    人種主義は、日本において以下のような状況に現れています。
    ・コロナウイルス感染症が社会を襲う中で、外国人労働者が真っ先に仕事を失っていること、外国人留学生だけは学生支援金給付の可否を成績で線引きするという政府方針、コロナウイルスによる日本語学校や技能実習先の停止を含むさまざまな理由で非正規滞在状態に陥った外国人が社会的救済から置き去りにされる状況。
    ・外見上「日本人」に見えず白人とも違う人たちに対する警察による恣意的な職務質問・暴力。
    ・難民として日本にやってきた人たちへの非人道的な扱い。
    ・独立国として栄えた琉球王国が併合され、太平洋戦争末期には本土防衛の防波堤とされ、戦後は米国に引き渡され、日本に復帰後も米軍基地の70%が集中し、今また、選挙によって繰り返し表明された民意を無視する形で辺野古・高江の住民の健康や安全を脅かす新基地が建設されようとしている沖縄の状況。
    ・土地と独自の言語・文化による伝統的生活の場を奪われ続けたアイヌ民族の歴史。
    ・国連先住民族権利宣言後の 2008年まで「日本に先住民族はいない」と言い続けた日本政府のあり方。
    ・人権理事会や人種差別撤廃委員会をはじめとする国連人権期間が「世系による差別」として明示している、被差別部落の人々に向けられ続けてきた差別。
    ・かつて朝鮮半島をはじめアジア諸国に対して行った侵略と略奪、そこで女性たちに加えた残虐な性暴力、敗戦とその後75年を経た今も、その加害と歴史的責任に向き合う代わりに侵略戦争を美化し、あるいは事実を否定・歪曲し被害者を侮辱する言説。
    ・侵略戦争による祖国の分断という背景のもとで日本に幾世代にもわたって暮らしながら、参政権、民族教育への権利を含む人権を奪われ続ける在日コリアンの人々の立場、彼女・彼らに向けられる偏見と憎悪。

    さらに、人種的・民族的マイノリティに属する女性たち、性的マイノリティの人々が直面している複合的差別に関しても、社会的な認識と取り組みが不足しています。

    上記のような、自分たちの社会に内在する構造的不平等を意識せずに1日1日を送ることができている多くの「日本人」は、実際にはマイノリティの人々の人権を抑圧することで成り立っている社会構造の恩恵と特権を享受しています。その事実に向き合うことなく、人種主義に対して声をあげずにいることは、現状を是認することであり、「自分は善意である」と信じていたとしても、その不正義に加担することです。私たちには行動する責任があります。

    私たちが#BlackLivesMatterに連帯するのは、これが外国で起きていることではないからです。NHKの番組による#BlackLivesMatter抗議運動の認識を欠いた描き方は、警察による殺人事件を無視し、同運動に対する偏見と否定的な見方を広めるものであることに加えて、この問題を外国のものと描いた点で誤っています。人種主義は、私たちが住む日本の社会を、幾世紀にわたって蝕んできた問題です。

    日本YWCAは、「多世代・多文化で多様な背景を持つ人びとを尊重する社会」をビジョンに掲げています。2009年に「アジア・太平洋戦争の謝罪と未来に向けての決意表明文」で宣言しているとおり、かつて日本の帝国主義に基づく侵略と戦争を止めることができず、戦争協力を余儀なくされた反省に立ち、二度と同じ過ちを繰り返さないよう、平和を求めて声をあげ、また、「日韓ユース・カンファレンス」や「南京を考える旅」、「ひろしまを考える旅」など、アジア・太平洋地域のYWCAとの連携を重んじつつ学びと行動の場をつくるプログラムを継続してきました。各地域YWCAでも、さまざまな形で多文化共生をはぐくむ活動に力を注いでいます。

    私たちは今後も、世界のYWCAの仲間たちとともに、人種主義に抗い、すべての人が尊重される社会のために行動し続けることを決意し、ここに表明します。

    2020年6月22日
    日本YWCA

    声明(PDF)は日本YWCAのホームページでもお読みいただけます。

    また、海外のYWCAが出している声明については、以下のページをご参照ください。

    米国YWCA

    英国YWCA
    原文ページ
    日本語訳(日本YWCA)

    世界YWCA
    原文ページ
    日本語訳(日本YWCA)
     


    2020年4月27日

    新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の特別定額給付金に関する要望書

    内閣総理大臣 安倍晋三様
    財務大臣 麻生太郎様
    総務大臣 高市早苗様
     
    新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の 特別定額給付金に関する要望書
     
    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための緊急事態宣言や各自治体による外出・営業自粛要請を受け、今後いっそう生活に困窮する人が増加することが懸念されます。この対応策として総務省が4月20日に特別定額給付金の概要を発表しました。

    私たち日本YWCAは、日本政府によるこの一律10万円の特別定額給付金が、生活困難・生活不安に直面している多くの人びとの現状に応じた緊急的な措置であると受け止めています。しかし一方で、特別定額給付金の対象者が2020年4月27日時点で住民基本台帳に記録されている者であること、世帯主が受取人となり、世帯主名義の銀行口座に振り込まれるなど、いくつかの課題も見えてきました。

    日本各地の地域YWCAを拠点として、外国にルーツをもつ子どもたちや、DVを受けている女性たちなど、社会的に弱い立場にある人びとがその尊厳を取り戻し、共に安心して生きられる社会をめざして活動する私たちは、この「特別給付金」が必要な人びとに行き届くことを切に願います。SDGsにある誰も取り残されることのない社会の実現のためにも、困窮する人が取り残されることのないよう、以下を要望します。

    一、 日本に居住するすべての人を対象とすること
    国籍を問わず、住民基本台帳に記載されているすべての人を給付の対象にする方針ではありますが、外国籍の場合、3か月を超える在留資格などを持ち、住民票を届け出ていることが条件であれば、これを満たさない人びとが、厳しい状況の中に取り残されてしまいます。また、さまざまな事情で住居を失った人も、この給付を受けられるように具体的な仕組みを整備する必要があります。

    一、 誰にでもわかる簡易な給付の手続き、多言語による情報発信・申請受付とすること
    第一言語が日本語でない人びとに向けて、平易な表現の「やさしい日本語」や多言語による情報発信、多言語による申請受付はもちろんのこと、申請の相談窓口の設置や相談体制の整備も必要です。特に外国人のDV被害者は同郷者コミュニティにアクセスすることが難しく、孤立しがちな状況です。

    一、 世帯主へまとめて給付するのではなく、個人を対象とした給付方法をとること
    「配偶者からの暴力の被害者に係る証明書」などがあれば、現在の居住地で受け取ることができるようになりましたが、証明書を受けられない状況にあるDV被害者もいます。また虐待から逃れている場合を含め、世帯主との関係性が絶たれている若年者などもいます。給付金の受け取りが困難なこれらの人たちへの特別な配慮も必要です。

    一、 口座振り込み以外の給付に関して、広報を徹底し、遅滞なく行うこと
    外国人労働者で日本の銀行口座を持っていない人もいます。またDV被害者や被虐待者で加害者の元を離れた人は、マイナンバーカードやマイナンバー通知書、各種身分証、通帳やキャッシュカードを持ち出せていなかったり、銀行口座を持っていないことがありますし、世帯分離をしていなかったり住民票を移していない場合もあります。また加害者が行政職員である場合に、被害者は給付申請をためらう可能性があります。公的機関に限らず民間支援団体による保護が確認された場合に身分証提示等の免除、支援機関による代理申請、口座振込以外の受け取りが遅滞なくできるようにすることが求められます。

    2020年4月24日

    日本YWCA会長 藤谷佐斗子/釧路YWCA会長 冨安邦子/札幌YWCA会長 髙橋洋子/函館YWCA会長 寺田麗子/弘前YWCA会長 千葉仁子/仙台YWCA会長 木村順子/福島YWCA会長 荒木紀子/東京YWCA運営委員長 島﨑真奈美/横浜YWCA会長 遠藤真理/湘南YWCA会長 加藤和子/平塚YWCA会長 三股まさ子/甲府YWCA会長 平石あつ子/新潟YWCA会長 横山由美子/静岡YWCA会長 芳賀美江/名古屋YWCA運営委員長 永山峰子/京都YWCA会長 弘中奈都子/大阪YWCA会長 小澤裕子/神戸YWCA会長 野村春美/広島YWCA会長 難波郁江/呉YWCA会長 永冨彌古/松山YWCA会長 益田明美/福岡YWCA会長 柴田智子/長崎YWCA会長 桑原百合子/熊本YWCA会長/髙野和佳子 沖縄YWCA会長 糸洲のぶ子

    要望書(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。


    2019年8月9日

    日本政府の韓国への対応に関する抗議声明

    内閣総理大臣 安倍晋三 様
    外務大臣 河野太郎 様

    抗議声明

    日本政府は7月2日、貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」のリストから、韓国を除外する政令改正を閣議決定しました。これによって、日韓両国の危機的状況は決定的となりました。日本政府は否定していますが、この問題の背景には、アジア・太平洋戦争中の日本企業による韓国人徴用工問題があり、その「報復的措 置」としてこのような形をとったことは明白です。

    アジア・太平洋戦争時をはじめとして、日本が韓国を含む東アジア諸国を侵略、人々の人権を侵害し、多くのかけがえのない生命を奪ってきたことを日本政府は深く顧みなければなりません。そして今、歴史を省みることなく隣国の人々の人権を踏みにじり、軍事基地の拡大と経済制裁によって、隣国を威嚇することが、平和をつくり出す道にはつながらないことを、日本政府は気づかなければなりません。 私たち日本YWCAは、日本政府に対し、真の平和をつくり出すために、真摯な態度で過去の歴史の過ちを認め て謝罪し、対話による外交を行うように求めます。

    2019年は、日韓両国に歴史的な意味をもつ「三・一独立運動100周年」の年です。日本による植民地支配、その抑圧に立ち向かった韓国の人々の抵抗運動は、全世界の植民地支配下で苦しむ人々に、平和の実現と人権の回復への希望をもたらしたという重要な意味をもっています。その運動から 100年を経た今年、私たち日本YWCAと韓国YWCAの女性たちは、顔を合わせて語り合い、日本政府が歪曲してしまった歴史を正し、戦争を繰り返すことがないように東アジアの平和構築のために協力し合うことを誓いました。この8月には、韓国や中国YWCAの若い世代のメンバーを招き、広島にて日本の中高生たちと広島の原爆の被害と加害の史実を学ぶプログラ ムを実施します。2020年1月には日本から若いメンバーが韓国を訪問し、平和な社会をめざし、共通の課題について語り合うプログラムが開催されます。

    この日韓両国の関係の深刻化は、良心的な両国の市民の交流にも影響が出るほどとなりました。これまで、市民どうしが手をつなぎ、丁寧に誠実に積み重ねてきたものすべてが、覆されようとしています。

    日本政府の誤った対応は、日韓両国の関係をさらに危機的な局面へと陥らせることは明白です。この日本政府の動きとは反対に、多くの民間団体が負の歴史を顧みてそれを乗り越える日韓の草の根交流の努力を重ねてきました。日本政府は、これまでの政策の誤りに今こそ目を向け、対話による平和外交の努力をなすべきです。
    以上

    2019年8月6日

    日本YWCA
    会 長 藤谷佐斗子
    総幹事 尾﨑裕美子

    抗議声明(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。


    2019年8月9日

    あいちトリエンナーレ 2019 の「平和の少女像」の展示の再開を要望します

    愛知県知事 大村秀章 様
    名古屋市市長 河村たかし 様

    8月3日、愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」では、日本軍「慰安婦」を象徴する「平和の少女像」を含む「表現の不自由展・その後」の展示が中止となりました。大村秀章愛知県知事は記者会見にて、 「テロ予告や脅迫とも取れるようなメールが寄せられ、安全な運営が危惧される」と中止の理由を説明しましたが、 8月2日に芸術祭を視察した河村たかし名古屋市市長が、囲み取材で「どう考えても日本人の、国民の心を踏みにじるもの。いかんと思う」と発言し、「平和の少女像」の展示を即刻中止するよう大村秀章・愛知県知事に申し出ると発表したこと、同日、菅義偉官房長官が国の補助金交付について慎重に検討する考えを示したことも大きな要因であると考えます。

    国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」のコンセプトの説明文には、「近代以降、どこまでも開かれ、つながっていくことへの渇望がグローバリズムを発展させた。しかしその一方で、ひたすらに閉じて安心したいという反動が今日のナショナリズムの高まりを支えている。両者の衝突が分断を決定的なものにし、格差は拡大し続ける。」という一節が記されています。まさに、今回の「平和の少女像」という芸術作品の展示の中止は、「ひたすら閉じて安心したい」反動の行為であり、日本国憲法21条の表現の自由を侵害する行いです。

    また、「平和の少女像」の撤去を求めた河村市長の発言は、日本の植民地支配下で性奴隷とされた元「従軍慰安婦」女性の人権と尊厳を侵害する行為に他なりません。元「慰安婦」女性達は、日本政府からの公式な謝罪と賠償、次世代への継承を訴えてきました。「平和の少女像」は、「慰安婦」女性を覚え、戦時下での性暴力被害が決して繰り返されないことを願い、建てられました。このことから、河村市長の発言は、性暴力被害の無い社会の実現と女性の人権の尊重を否定する発言であり、失望せざるを得ません。

    私たち日本YWCAは、長年にわたり、日韓YWCAをはじめとする日本と韓国の女性たちの交流を深めてきまし た。その中で、韓国を含む、アジア・太平洋地域への侵略と植民地支配の歴史を見つめ直し、次世代へと続く顔と顔のみえる友好な関係作りの努力を重ねています。加害者としての責任を問うことなく、真実を覆い隠しては、真の平和はつくりだせません。真実の歴史に刻まれた女性や少女たちに起こった出来事を、芸術作品をとおして現代に生きる人びとや次世代に伝える芸術家たちの表現の力を、私たちは心から素晴らしいと思います。真実を表現する自由を、公的立場にある人たちが権力を行使して奪ってはならないのです。

    このような理由から、日本YWCAは、愛知県知事と名古屋市長に、「あいちトリエンナーレ2019」の「平和の少女像」の展示再開を要望いたします。

    以上

    2019年8月6日

    日本YWCA
    会長 藤谷佐斗子
    総幹事 尾﨑裕美子

    要望書(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。


    2018年12月14日

    辺野古海域への土砂投入に対する抗議声明文

    【辺野古海域への土砂投入に対する抗議声明文を提出しました】
     
    辺野古海域への土砂投入に抗議します

    内閣総理大臣 安倍晋三 様
    国土交通大臣 石井啓一 様
    防衛大臣 岩屋 毅 様

    岩屋毅防衛大臣は、12月3日に「辺野古海域への土砂投入を今月14日に予定している」と発表しました。
    辺野古新米軍基地建設に関しては、2度にわたる県知事選挙によって、沖縄の民意は「NO」を言いつづけて
    います。今回も、沖縄の市民たち、そしてこの事柄に責任を感じているヤマト(沖縄以外に住む者たち)の
    市民たちがずっと反対行動を続けています。私たち日本YWCAも、その中に加わり、反対の声を上げ続けて
    きました。

    私たち日本YWCAは、アジア・太平洋戦争において、戦争を止める力になり得なかった自らの責任を深く省み、
    「平和を作りだすもの」としての歩みを続けてきました。
    軍用基地はどのような国のものであっても、結局は「人を殺すため」「戦争をするため」に訓練されるところです。
    私たちは、どのような目的のためであっても、人を殺すことに加担することはできません。戦争をするための
    米軍基地は、戦争を放棄しているこの国には不必要です。
    米軍基地にいる兵士たちは「人を殺すため」に訓練された人々です。兵士たちは「人を差別する」ように教育
    されます。そうでなければ人を殺すことはできないからです。結果、「日本の人々を差別しても良い」と思い、
    支配と差別を繰り返します。この70年以上の間ずっと、沖縄の女性と少女たちは米軍兵による暴力
    (殺人、強姦、身体的・精神的・性的ハラスメントなど)を受け続けてきました。なぜ、女性や少女たちは
    このような目に遭わなければならないのでしょうか。
    米軍の訓練のために、沖縄の保育園の上を軍用機が飛んでいます。2017年12月には本来の訓練ルート
    ではないのに、なぜか毎日飛んでいた米軍用機から落ちた落下物によって、もう少しで大惨事になるところ
    でした。また、これまでにもたくさんの事故が起こり、人命が奪われ続け、住民の安全は脅かされています。

    辺野古の海は、本当に美しい海です。いのちを育む海です。ジュゴンやウミガメ、サンゴをはじめとする、
    多くの種類の動植物は、ここでしかいのちを得ていくことができません。土砂投入は、これらの生態系を完全に
    壊すことになります。私たち日本YWCAは、全てのいのちが大切にされ生かされることを願って活動を続けています。
    辺野古海域への土砂投入に強く抗議します。辺野古への新米軍基地建設を撤回してください。
    沖縄の人々や、私たち市民の声を聴いてください。
    以上を強く求めます。

    2018年12月10日

    公益財団法人日本YWCA
    会長  藤谷佐斗子
    総幹事 尾﨑裕美子

    抗議声明文(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。


    2018年8月7日

    東京医科大学の女子受験者への得点操作に抗議し、
    ジェンダー平等社会の形成を求める要望書
    (日本YWCA)

    【東京医科大学の女子受験者への得点操作に抗議し、ジェンダー平等社会の形成を求める要望書を出しました】

    2018年8月3日の新聞各紙の報道で、東京医科大学が、2018年2月の医学部医学科の入試で、受験者側に説明も
    ないまま女子受験者の点数を一律減点し、女子合格者を全体の3割前後に調整していたこと、同大学内部では
    その理由として「女性医師は結婚や出産で職場を離れたり、深夜勤務ができなくなったりする問題があり、
    これを避けるため」などとされていたことが明らかになりました。

    私たち日本YWCAは、このような女性や少女の人権を踏みにじる不当で不利益な行いに対して、強く抗議します。

    要望書(全文)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。


    2015年7月11日

    安全保障法制に反対する抗議声明

    私たち、日本YWCAに連なる神戸YWCAは、安全保障法案の廃案を求めるとともに、この法制定を推し進める安倍政権に対する強い抗議の意思をここに表明いたします。

    日本YWCAは先の戦争を阻止できず、戦争協力に追い込まれたことを反省することから、キリスト教の基盤に立ちかえり、二度と戦争することのないよう、平和のために努力することを誓って戦後の活動をスタートしました。
    大日本帝国憲法下の旧民法で女性の人権は制限されていましたが、現行憲法によって家族制度に縛られていた女性が解放されました。そのとき私たちがまず重要だと考えたことは、女性たちが「戦争のない平和な社会」を求めて声をあげ、行動することでした。
    1951年、当時の日本YWCAは、平塚らいてうさんをはじめとする多くの女性たちと共に、「講和問題に関する日本女性の希望要項」を表明しました。当時の日本YWCA会長は、「われわれは日本国憲法に定められた非武装、非交戦をあくまで守りぬく決意である」と機関紙に明記しています。
    日本YWCAは、個の尊厳を大切にし、国家権力の暴走を食い止める立憲主義に基づいた現行憲法を支持し、ことに武力とすべての戦争を放棄する日本国憲法9条の精神を誇りとしてきました。その精神こそ真の国際平和への指針であると確信して、戦後のYWCAは女性たちの平和への願いをつなげて活動を進めて参りました。2009年には「アジア・太平洋戦争の謝罪と未来に向けての決意表明文」を発表し、世界のYWCA、特にアジア・太平洋地域のYWCAと連携して、非暴力の平和構築活動を進めることを再確認しました。

    しかしながら、現政権は、憲法9条の精神から逸脱し、立憲主義をないがしろにして2014年7月1日に集団的自衛権行使容認の閣議決定をし、さらに2015年5月14日には、安全保障関連法案の閣議決定を強行しました。現在、これらの法案は国会で論議されていますが、もし成立すれば恒久平和主義を基盤としてきたこの国の姿は大きく変わることになります。目論まれている「自衛隊法」などの改定や「国際平和支援法」の新設などすべては、憲法9条が禁止する海外での武力行使に繋がるものです。
    2015年4月30日、安倍首相はこれらの法案を国会に提出する前に、米国議会で夏までの法制定を約束しました。これは著しい国会軽視です。また、国民の多くが憲法9条を変えることに反対している状況で、国民の意見を十分に聞くことなく、性急に法案を成立させようとすることは、国民主権の原理を大きく逸脱していますし、何よりも立憲主義の理念に反しています。

    世界のYWCAと連携し、非暴力の平和構築活動の道を真摯に歩んできた日本YWCAは、安倍政権によるこれら一連の憲法違反の行為に強く抗議し、安全保障法案の廃案を求めます。

    神戸YWCA
    会長   鶴崎祥子
    総幹事  寺内真子

    声明文をPDF版で読む


    2014年6月30日

    「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に抗議する声明文を送りました

    神戸YWCAは「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に抗議する以下の声明文を6月21日付で内閣総理大臣と、公明党党首に送りました。

    「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に強く反対し抗議します

    私たちYWCAは、多くの人々を犠牲にした悲惨な先の戦争に十分反対の意を唱えられなかった反省から、戦後の活動をスタートしました。「平和憲法」に誇りを持ち、日本が二度と戦争への道を歩まないことを願って、特に東北アジアの人々と草の根の平和的交流を進めてまいりました。

    そうした中、集団的自衛権行使容認の閣議決定という暴挙は、決して許されるものではありません。

    まず、立憲主義の否定だと言わざるを得ません。そもそも憲法とは、私たち国民の基本的人権・自由を守るものであ り、権力者が横暴をしないように、権力者側を縛る鎖です。もし、現行の憲法の枠組みで安全保障政策を取り得ないというのであれば、まず主権者である国民に憲法改正の是非を問うべきであり、憲法改正が行われた後に、憲法に則って政策を行うべきです。

    各報道機関による世論調査では、概して「集団的自衛権行使容認」には反対意見が多く、現政権支持者も経済政策を重要視しているのであり、安全保障政策に賛同しているわけではありません。パブリックコメントや公聴会などで国民の意見を十分に聞かれたのでしょうか。

    集団的自衛権の本質は、自衛ではなく「他衛」です。たとえ「限定的」であれ戦闘に参加すれば、自衛官が死傷したり、他国の人々を殺傷したりするリスクを負います。現在の状況では、このことに関する国民に対する説明は全く不十分です。

    「日本の安全に重大な影響を与える場合」とは何か、「必要最小限度」という限定は可能なのか、またもし日本が戦闘に参加した場合、それが日本にどのような帰結をもたらすのか、報復として攻撃を受ける可能性も含めて広く論じられるべきです。このような重要な判断を、国民の意思を無視して閣議決定することは、平和主義だけでなく、基本的人権の尊重や国民主権という憲法の三原則を軽視することにもなります。

    首相の私的諮問会議である安保法制懇のメンバーには、ほとんど憲法の専門家が入っていません。2003年、大量破壊兵器が存在するという米国の虚偽情報を鵜呑みにし、米国のイラク戦争を支持したメンバーさえ含まれています。このような権力の過ちに歯止めをかけるためにも、多くの憲法学者や有識者の声に耳を傾けるべきです。

    戦後日本が獲得した「平和国家」のイメージは、外交上の大切な資産となり、非軍事の国際貢献は歓迎されてきました。また、近隣諸国との信頼関係の礎となり、紛争予防の役割も果たしてきました。日本がとるべき方針は、平和憲法を守ることで近隣諸国、特に東北アジア諸国との信頼関係を深め、武力によらない平和構築に力を注ぎ、平和国家のイメージを崩さないことだと確信しています。

    私たちは、集団的自衛権行使容認の閣議決定に、断固反対します。

    神戸YWCA
    会長 鶴崎祥子



    YWCA(ワイ・ダブリュー・シー・エー/Young Women's Christian Association)は、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現する国際NGOです。
    1855年英国で始まり、今では日本を含む125あまりの国と地域で、約2,500万人の女性たちが活動しています。