「上筒井から」Vol.4(Aug. 1999)

近況報告


 救援センターからスタートした夜回りも今年で4年目になりました。活動人数はあいも変わらず4人程度…とほほ。そんな中で地道な活動を続けております。私達は毎月第2,第4週の土曜日は夜回り、第3週はミーティングを行っています。路上生活を強いられている方々の支援グループとしての活動は3年目。しかし、いつまで経っても、会のネーミングも決まらず、ずーっと“準備会”のまま。誰が聞いても会の趣旨が伝わるような名前が欲しいところ。

 さて、この1年を通じて夜回りで出会う数は増加の一方を辿っています。不況の影響かあるいは市や国の対策がないためなのか、ますます厳しい状況が続いています。中央区の生田川以東、東灘区の青木まで活動が広範囲であるため、なかなか1人1人とお話する時間さえありません。毎晩ぜいぜい言いながら走り回っています。

 こんな活動の中、最近特に目立つのが新しい顔と出会うことです。以前からお会いしている方々の顔ぶれは変わりなく、どんどん路上に追いやられる方が増えていっています。「やあ、おじさん元気やった?」と声を掛けるものの「おお、兄ちゃん待っとったで」と非常に明るく迎えられると複雑な気分になります。生活が安定した状態でお会いできると嬉しいのですが、なんせ逢うのは吹きさらしのプライバシーも何もない路上。そんな中でも嫌な顔一つせず、ホントに好意的に接してくれます。逆に元気をいっぱい頂いている感じもします。そんな中、夜回りが終わるといつも“俺は何やっとんやろ、ほんま何も出来へんな”と自分の力のなさにほとほと呆れてしまいます。

 時の変化と共におじさん達の住んでいる路上も日に日に住みにくい状況になっています。6月末の仮設住宅閉鎖の煽りを受け、公園などでは立ち退きを迫られるケースも少なくありません。本人の意思を無視した仮設住宅や公園の立ち退きは絶対にあってはなりません。どんな状況であれ、今住んでいるところが生活基盤の一つであることには変わりないし、もっと生活を脅かすことにしかなりません。なんでこうも非人道的なことが平然と行われているのでしょう。悲しい世の中です。

 私達が回っていた場所の一つに青木のフェリー乗り場があります。明石大橋の開通に伴い、今年3月16日をもって閉鎖されました。ここには約20名ほどの方が生活していましたが今なお行くところがなく皆さん近くの路上に追いやられる結果となっています。もうすぐ建物の取り壊しと建設のため、追い立てがあるのは必至。

 どうすればよいのでしょう。一人でも多くの方がこの問題に関心を持っていただき、誰もが安心して暮らせる神戸になることが、やはり私の願いです。ほとんどの場合ホームレスと聞くと自分の想像の域を脱しないのが現状です。


 “俺(私)はこんなに苦労しとんのにあいつら怠けやがって”と思っている方はぜひ一度、夜回りに参加してみてください。ほんとにそうなのか自分の目で見て、接して確かめてください。それではみなさんの参加をお待ちしております。


(1999年8月・理)


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