「上筒井から」Vol.10(Jul. 2001)

野宿生活のヘンリン 〜夜回りメモより



TAMさん: カセットコンロで沸かしたコーヒーとトーストをご馳走になった。以前はコピーライターをしていた。沖縄から7年前にきた。今は仕事がない。他の3人は自転車で粗ゴミを探し、毎月20万位稼いでいるが、自分は自転車がないのでリュックを背負って歩いているので,夜中の2時3時まで廻っても人の後なので,ほとんど何も集められない。早く仕事につきたい。更生センターからは来いと言われているが、匂いに耐えられない。更生センターは人の関係が難しい。夜回りが土曜にきてくれるのは、話が出来て嬉しい。川向こうのUさんは,血を吐いたので救急車で運ばれた。※Uさんの入院先をN福祉事務所とT福祉事務所に問い合わせたが、どちらも心当たりはないとのこと。4月末の夜回りでUさんとは連休明けに生活保護の受け方を話す約束だったが、5月7日に救急搬送され8日に亡くなっていた。そこまで弱っていることが判らなかったのが悔やまれる。

Hさんから電話:  神戸市営T住宅の知人宅に間借りしている。タクシーの運転手をしていたが、健康診断で高血圧と糖尿が見つかり、解雇された。生活保護を申請しても、居候では駄目と断られている。※8月から厚生年金が受け取れるので、それで部屋を確保し、生活保護を申請したい。

Nさん: 胃潰瘍の後が時々痛む。仕事は少し。リサイクル法で仕事は減った。安い部屋を借りても維持できる見通しが立たない。

NIさん: 泥棒に剥いた電線を5キロ盗まれた。(注:電線は外皮を剥かないと売れない。焼くと汚いので安くしか売れないが、手で剥くには非常に手間が掛かる)。銅線はキロ100円、アルミはキロ75円。アルミ缶は自転車で35キロ運ぶ。

SYさん 公園を管理する役所の人が代わった。IとHチャンのねぐらは撤去され、別の人が入れないようにバリケードを張られた。寝ていない所は20日までに撤去される。自分はここで寝ているので撤去されない。役所は「今なら更生センター2階(食事が出る更生施設)にはいれるようにする。」と言った。
※自分の年金を先に調べるように勧めた。生活保護を受けてから、年金が在ることがわかると返却させられる

T川橋下の人: 一昨日、川が増水したので流されないように上に上がった。アルミ缶集めは新規参入が増え(一月で倍)集まりにくくなった。カトリックの炊き出しを食べに集まる人も増えている。


※4月にリサイクル法が施行され、テレビやエアコンが捨てられなくなった。それまでテレビを集めて、売って暮らしていた人は打撃を受けた。また自動車を持っている失業者が車で粗ゴミからリサイクルショップに売れる物を集めたり、フリーマーケットで売るために、物を集める人との競合も熾烈である。

(2001年7月・耀)


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