神戸YWCA地域活動部



わいわい通信 vol8. Top >> あの人に会いたい

ちいきにひろがれ ふくしのわ


神戸YWCA 地域活動委員会ニュースレター Vol.8   2006.2発行
P10−11

===== あの人に会いたい!====



前号から始まったコーナー「あの人に会いたい!」

毎号 一人、神戸YWCAで活動している素敵な方を
紹介していきます。

第二回目の今回、インタビューを受けてくださったのは
野々村耀さん です






【現在取り組んでいる活動】

夜回り準備会に参加しています。夜回りと、昼間の病院訪問や、夜回りで出てきた問題を昼間にフォローしています。生活保護を受けたい、そのために部屋を借りたいというようなことができたとき、不動産屋さんとかけあったり福祉事務所と相談したりします。

 

【夜回り準備会やYWCAと関わるきっかけ】

神戸のYWCA〔以下Yと省略〕との関わりは実は非常に古く、ベトナム戦争反対運動で70年代に映画の上映会を一緒にやったこともありますが、その後神戸を離れていたので縁はありませんでした。阪神・淡路大震災で神戸に来て被災者支援活動に関わっているなかで、罹災証明のない人が支援を受けられないことを知り、カトリック神戸社会活動センターの救援活動に参加するなどしていました。Yの救援センターが終わる97年の終わり頃、夜回りを続けたいがメンバー不足ということを聞き、Yのほうに参加させてもらうことになったのです。

 

【活動を通じて印象的なこと】

今はしんどいことのほうで頭いっぱいですね。僕は1983年頃から横浜で野宿をしている人を訪問していたのですが、その頃は「野宿する人」というのは「日雇い労働者で働けなくなった人」の問題だった。それが神戸に来て、最初はほぼそうだったのですが、97年ぐらいから若い人たちが増えてくる。そして、働いていた人がいつ野宿になるか分からない状態になってきて、今は若い人たちの労働の問題がかつての日雇い労働者の立場と非常に近くなってきた。つまり、身分保障がなく働かされて使い捨てにされていくような問題が非常に深刻になっている。この「若い人たちの働く状況」が、今若い人がもう若くなくなる時代にどんなふうになっていくのかと思うとたいへん心配です。

僕が横浜にいた80年代は、「小さな政府」「民間活力の活用」とかいうかたちで、社会福祉を中心ではなく資本や企業が自由に利益を追求できるように世の中を変えようとしていた。産業革命の後、悲惨な労働者の状況を何とかしようと、労働時間短縮等いろいろな規制を作ってきたが、そういうものがすべて「規制」という名前で葬り去られている。「規制」は悪いもののように言うが、実はそれは、人間の悲惨を何とか減らそうということから出てくる知恵だったと思うのです。しかし、それをもうかなぐり捨てて利益追求をしようという状況になっている。そのことを80年代からいろいろ訴えてもなかなか誰にも通じないという感じだったのが、このごろやっと、非常に問題だということを感じる人が増えてきたのかな、というふうには思います。

「野宿をする人の問題は特殊な人の問題」だというふうに誤解されているところが多いように感じています。そうではなく、今の社会のなかではかなりの人が非常に弱い立場に追い込まれていく、だから人ごととしてではなくこういう問題を感じ取ってほしいし、何らかのかたちでよく理解した上でサポートしていただけたら、と思います。一度でも夜回りに参加をしてもらえたら、何か特殊な人たちのことのように思っていることが、少しはほぐれるのではないかという気がします。

 

【特に若者向けのメッセージ】

僕は昔から、若者というのは世界を変えられるという気持ちのある人が若者だと思ってきたのですが、少しでも人間らしく生きられるように変えたい、そういうことが可能だというふうなことを考えてほしいというか…。現在「ネオリベラリズム」という世界の流れがあるけれども、もう一つ違った世界が可能だというような運動が世界中で起こっているので、連携できるようなものを見つけてほしいなと思います。

 

【女性・家族で野宿している人たち】

YWの夜回りエリアではまだ具体例はあまりないですが、たまに出会ったときにうまく対処できていないことが多いのは残念なことですね。日本は外国よりもストリートチルドレンや野宿をする女性が少ないということについて、外に逃げ出していく自由もない、それで家庭のなかで殺されたりしているというところに、何か日本の不自由さみたいなものを感じているのですが…これは説明困難ですね。