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神戸YWCA 平和・基盤委員会 
基盤を考える集会 &
日本語教師養成科 平和プログラム


「戦争の悲しみを絵画から聴く」

丸木夫妻の足跡と作品紹介


      

 

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29日(月)の午後、原爆の図丸木美術館の学芸員をされている岡村幸宣さんに講演していただいた。丸木位里さん、俊さんご夫妻の絵に興味を持っていた私は、この日を楽しみにしていて、深い内容の話に感動を覚えた。

 位里さんは前衛的な水墨画家、俊さんは叙情豊かな油彩画家で、その二人の合作が「原爆の図」である。「絵は描くものではない、墨を流すものだ」という考えの位里さんに、自分がせっかく描いた絵の上から、墨を流されてしまった、という俊さんの談話もうかがった。でも、水墨画と洋画の合体が、何ともいえぬ味わいを生んでいる。

 東京での展覧会で、「どうして絵の中の人はみな、裸なのか?」と原爆の実情を知らない東京在住の人は尋ねた。そこに居合わせた被爆者が「こんなものではない! 本当はもっと悲惨だ!」と叫んだという。地域により、それほどの温度差があったのだ。

 絵の中では、まず妊婦を描かれたという。原爆は「生命の否定」だからであろう。しかしどんなに悲惨な状況であろうと、一人ひとりを美しく描きたいとも思われたそうだ。人間の尊厳ということを考えられたのだろう。 

ご夫妻は絵を観る人々との対話を通して、創作を続けられた。被害者としてだけでなく、加害性ということにも目を向け始め、米兵捕虜の姿、在日の方々の姿、水俣の図なども描かれた。地獄の図にはご夫妻の姿も入っている。「私たちが地獄の図に居るのは、戦争をくい止められなかった」からだと。

位里さんの母親、丸木スマさんの絵も紹介していただいた。温かい絵にホッとした。でも「ピカは人がおとさにゃおちてこん」というのは、スマさんの心からの言葉である。

 今日の講演で、あらためて「平和」への願いを強くした。

さて、私たちに今できることは何だろう? うかがった話を胸に、YWCA会員としての使命を考えていければ…願っている。

                                 平和・基盤委員 寺沢 京子

       
  
丸木美術館HPで作品の一部を見ることが出来ます⇒原爆の図丸木美術館