神戸YWCA 平和・基盤委員会
基盤を考える集会 &
日本語教師養成科 平和プログラム
「戦争の悲しみを絵画から聴く」 |
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位里さんは前衛的な水墨画家、俊さんは叙情豊かな油彩画家で、その二人の合作が「原爆の図」である。「絵は描くものではない、墨を流すものだ」という考えの位里さんに、自分がせっかく描いた絵の上から、墨を流されてしまった、という俊さんの談話もうかがった。でも、水墨画と洋画の合体が、何ともいえぬ味わいを生んでいる。 東京での展覧会で、「どうして絵の中の人はみな、裸なのか?」と原爆の実情を知らない東京在住の人は尋ねた。そこに居合わせた被爆者が「こんなものではない! 本当はもっと悲惨だ!」と叫んだという。地域により、それほどの温度差があったのだ。 絵の中では、まず妊婦を描かれたという。原爆は「生命の否定」だからであろう。しかしどんなに悲惨な状況であろうと、一人ひとりを美しく描きたいとも思われたそうだ。人間の尊厳ということを考えられたのだろう。 ご夫妻は絵を観る人々との対話を通して、創作を続けられた。被害者としてだけでなく、加害性ということにも目を向け始め、米兵捕虜の姿、在日の方々の姿、水俣の図なども描かれた。地獄の図にはご夫妻の姿も入っている。「私たちが地獄の図に居るのは、戦争をくい止められなかった」からだと。 位里さんの母親、丸木スマさんの絵も紹介していただいた。温かい絵にホッとした。でも「ピカは人がおとさにゃおちてこん」というのは、スマさんの心からの言葉である。 今日の講演で、あらためて「平和」への願いを強くした。 さて、私たちに今できることは何だろう? うかがった話を胸に、YWCA会員としての使命を考えていければ…願っている。 平和・基盤委員 寺沢 京子 |
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